ライトノベルと小説の違い
先に結論を。
そんなん気にせずに読め!!
先日、「ライトノベルってなんですか?」という質問を受けることがありました。
自己紹介をする機会があり、本読むのが好きで、ほぼほぼ小説、最近はライトノベルばっかり読んでいます〜
と趣味について語っていた時に受けた質問です。
ライトノベルも市民権を得て久しいと思っていましたが、
自分は比較的最近にライトノベルにハマった(学生時代、2010年代はまったく知らなかった)のもあって、
いわゆるラノベと小説の違いをあまり考えたことがありませんでした。
小説をほぼ読まない人からの質問だったこともあり、
その場は「小説よりも読みやすい」「挿絵のあるなし」と適当に答えてしまったのですが、
ライトノベルを定義するには浅すぎるので、自分なりに考えてみることにします。
※特に歴史的経緯を追いかけたりするわけではなく、何の出典もありません。
分析っぽい書き方ですが普通に感想も混じってます。駄文です。
小説にとってのライトノベル
小説とライトノベル、と2つ並べて書いていますが、私はライトノベルは小説の一部だと思っています。
(SFやミステリといったジャンルとは違うベクトルのジャンル、カテゴライズになるので表現が難しいですが、
ここではライトノベルは小説はの1ジャンル、という言い方をしてみます。)
図書館などでティーンズやジュブナイル、ライト文芸という名前で小説コーナーの一角に青少年向けの本が集められていたりしますよね。
出版社・レーベルが異なるだけで、あれらとライトノベルは大きな違いはないと思います。
小説の中でも比較的若年向けの読みやすい本たちが、マーケットの拡大に伴ってライトノベルと認識されていったのでしょう。
今では出版社各社に専用のレーベルが存在するので、
その本がライトノベルかどうか、はライトノベルとして売られているかどうかと言えます。
つまり、『ライトノベル』というジャンルづけをして売られている小説をそう呼ぶ、ということです。
ライトノベルの特徴
「ライトノベルとして売られているからライトノベル」というのは破綻した論理ですが、
内容によってライトノベルが定義されるわけではないと思っています。
小難しい文調のライトノベルもあれば、会話が多く読みやすい一般小説もありますよね。
一方で、現代でライトノベルとして刊行されている作品にはいくつかの特徴があります。
- 表紙にキャラクターのイラストがある
- 本文中に挿絵が存在する
- シリーズ化されている
- 一般小説と比較して文量が少ない(文庫版)
- 人気になるとアニメ化される
- タイトルが長い
書店や図書館で見かけるだけの人も、共感できるポイントはあるかもしれません。
これらの特徴について、もう少し詳しく見てみましょう。
ライトノベルとイラスト
ライトノベル作品にとって、イラストはなくてはならない存在です。
著者と並んでイラストレーターの名前も表記されることや、「表紙買い」「神絵師」という言葉からも重要さがわかります。
小説も表紙に何某かの絵が描かれるものがほとんどですが、
小説のそれが抽象的な美術であるのに対し、
ライトノベルでは登場人物が描かれるかなり具体的なイラストになっています。
アニメ調のキャラクターが表紙に登場している=ライトノベル、と言ってもいいほど、
「イラスト」はライトノベルという文化を構成する大きな要素です。
読者を読む前から惹きつける要素としてひと役買っているイラストですが、
一方で想像する楽しさを奪っているのでは?と個人的には思っています。
小説では登場人物の顔や雰囲気は、文中の表現から想像して楽しむものでしたが、
ライトノベルでは事前に提供されたキャラクターたちが頭の中で会話を繰り広げることになります。
淡い想像上の世界も良いよな〜と思う今日この頃です。
また、イラストだけでなくイラストレーターの存在もライトノベルを構成する1要素です。
ライトノベルのランキング本、「このライトノベルがすごい」でもイラストレーターのランキングが組まれるなど、
誰が書いたかではなく、誰が描いたかも注目されるポイントになっています。
後述しますが、アニメ等でメディアミックス展開される場合、
キャラクター原案は原作のイラストレーターがそのまま務めるケースも多いです。
イラストで残念なのが、基本的に可愛い女の子のキャラクターばかり、という点です。
もっと世界観がわかるようなディテールを表現して欲しい、と思います。
そもそもライトノベルの登場人物は女性キャラクターが圧倒的に多く(主観)、
必然的にそうなってしまうのは理解はできます。
学園もののラブコメにしろ、異世界ものやSFものにしろ、
男性は主人公と友人の2・3人いれば多い方という感想で、
ご都合主義な展開によって女性キャラクターが多数登場します(あくまで個人の感想ですが)。
男性が読者層の大半を占めているので、可愛い女の子出しとけばいいだろと言わんばかりの作品は少なくないのですが、
イラストレーターさんが仕上げると本当に魅力的になってしまい、一定数売れてしまったりするようです。
また、昨今のそうした状況から初巻の売上がイラストに左右されることもあるようで(要出典)、
基本的には作家がイラストレーターを選べないことから、「絵師ガチャ」という言葉が生まれているのも残念に思います。
ライトノベルと巻数
一般小説と異なる特徴その2が、ライトノベルの巻数です。
ライトノベルではシリーズ化されるケースが大半であり、
「シリーズ巻数が多い」=「人気作品」という図式になっていると思います。
小説のシリーズ本も普通にありますが、
ライトノベルの場合はシリーズ化されることが原則と言えるほど小説とは一線を画しています。
タイトルは初巻から変更されることなく、末尾に2、3という数字がつけられるのも、
小説にはない文化かもしれません。
このシリーズ化前提の文化ですが、私は好きです。
小説でも続きがありそうな雰囲気のある終わり方だとテンションの上がるタイプでしたし、
気に入った作品に長く触れられることはシンプルに幸せだと思っています。
一方で、無理にシリーズ化しなくてもいいだろ、と思う作品も中にはあります。
1巻で単巻ものとして構成すればよかったのに、
シリーズ前提にした影響で話がまとまらないパターンや、
伏線回収できたのに無理に話を広げようとして停滞するパターンなどです。
もちろん作家さん・編集さんの意図があると思いますし、
ライトノベルという形態上ページ数もあまり多くないので妄言の域を出ません。
短い巻数であっても綺麗にまとまっている作品ももっと増えてほしいところですが、
後述するメディアミックス展開とかを考えれば致し方ないのかもしれません。
ライトノベルとメディアミックス
突然ですが、アニメは見ますでしょうか。
一般小説と比較してライトノベルはアニメ化されるケースが多く、
最近は1クールの中に占めるライトノベルが原作のアニメが増えてきています。
私はアニメの続きが気になってライトノベルを読み始めたところからラノベ沼にハマった人間ですが、
今では推しのラノベのアニメ化発表を楽しみにする側になりました。
ラノベに限った話ではなく漫画でもそうですが、
原作で人気が出る→アニメ化→映画化、というのがここ最近の流れであり、
初巻の刊行前からメディアミックス展開を見据えた戦略を練られている作品も多くなったように感じます。
実際、ライトノベルではアニメ化の前にドラマCDという声優さんを起用したメディアミックスを最近は目にするようになりました。
(知らないだけでアニメ制作進行の1部なのかもしれません)
ラノベの売上は一時期と比較すると落ちていると聞きますが、
メディアミックス効果により原作の売れ行きが伸びるケースもあり、
まだまだ可能性を残している市場だと思います。
アニメ化=大成功、と言えるかというと必ずしもそうではなく、
巻数の少ないうちからアニメ制作が始まっているパターンは不穏な匂いを感じます。
焦らずにじっくり育てて欲しいですね。
最近だと「エイティシックス」という作品が緻密に制作されていて感動しました。
ライトノベルのタイトルは長い
ライトノベルというと、そのやたら説明的なタイトルが特徴という人も多いでしょう。
「◯◯なオレが〇〇で〇〇してみた」みたいなやつですね。
よくネタにされているのを見聞きします。
ラノベを読む自分も好みではないですし、一般小説のようなシンプルなタイトルの方が読みたくなります。
ただ、面白ければ気にしなくなりますしむしろ愛着のわく部分になるので
あまり気にしなくていい要素かもしれません。
自分がこの手の作品に出会ったのは「やはり俺の青春ラブコメは間違っているのだろうか」という作品です。
高校生の時にタイトルを見て、こんなの誰が読むんだと当時は敬遠していましたが、
社会人になってから読んでめちゃくちゃにハマりました。
なぜ長いのでしょうか?
私は、作品の属性を説明できるからではないかと考えています。
書店に並んでいる中から読む前の読者に訴求できるポイントは「イラスト」と「タイトル」です。
刊行ペースが一般小説よりも早いライトノベルは、ジャンルひとつとっても飽和状態なので、
読者の求めているレーダーに引っ掛けようとタイトルを工夫しているのでは、と思っています。
いくら中身が良くても、少なくとも手に取ってもらえなければ始まりませんし、
話題性という意味でも多少の効果はあるのではないでしょうか。
(もう二番煎じどころの話ではないですが)
作者が好き好んでこの手のタイトルをつけているわけではないと思います。
応募の結果賞をとった作品が長ったらしいタイトルになるケースもいくつか見てきました。
私は出版業界に明るくないので、どういう戦略で長いタイトルにしているのかはわかりませんが、
もういいでしょう、という声は届いていて欲しいと思います。
ただ、この説明的なタイトル、作品をある視点から要約できるという点は評価できるのではないでしょうか。
(タイトル詐欺なるものもありますが、ここでは触れません)
有名な文学作品や古典をどんな話なのかざっくり知りたい人がいたとしたら、
ラノベっぽい説明的なタイトルにするといい感じになるかもしれません。
例えば、森鴎外の『舞姫』。ラノベっぽいタイトルにすると、、
「エリート官僚が留学先で現地の踊り子と仲良く同居生活始めました」
とかでしょうか?
(後半の鬱展開でタイトル詐欺と言われそうです笑)
なぜライトノベルが好きなのか
長々と勝手な解釈でライトノベルについて書きました。
学生時代に小説一色で見向きもしなかったライトノベルを、なぜ貪るように読んでいるのでしょうか。
理由のひとつとして思うのが、アニメを好きになったから、ということです。
私は本を読む時、頭の中で登場人物が会話するようなイメージで物語を展開します。
あるときは誰かの視点になって物語に入り込んだり、あるときは3人称視点から眺めているような感覚だったり。
社会人になるまでに読んでいた小説は比較的現実に即したものが多かったのですが、
比較してライトノベルは現実離れした設定・人物像が多いです。
当時の私は、2次元の可愛い・かっこいいキャラクターを頭の中で再現できず、受け付けられませんでした。
それが社会人になってアニメを見るようになると、多少のぶっとんだ世界観や
2次元のキャラクターがスッと自分の中に入ってくるようになりました。
そこからは、ライトノベルを読み漁るのにそう時間はかかりませんでしたし、
今ではなぜ学生時代に読んでいなかったのかと後悔するぐらいです。
好きになる素養は元々あって、読めるようになってその面白さに触れることができるようになったのでしょう。
ライトノベルだから好きなのではなくて、面白い作品がライトノベルにもいっぱいあったよ!
ただそれだけのことだと思います。
ライトノベルと小説、違いは確かにあります。
が、刺さるものは刺さるし、刺さらないものは刺さらない。それは変わりません。
これからも自分の心に響く作品に出会える日々を楽しみにして生きようと思いました。